世界報道写真展から学ぶ世界の情勢

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今年も世界報道写真展の季節になりました。
ということで、4年連続で足を運んでみました。
4年連続で足を運んだからこそ見える世界報道写真展から学ぶ世界の情勢について書いていこうかなと思っています。

世界報道写真展とは

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http://www.asahi.com/event/wpph/

「世界報道写真展」は1955年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。
毎年、1月から2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象にした「世界報道写真コンテスト」が開かれ、国際審査員団によって入賞作品が選ばれます。
十数人から成る審査員団は毎年メンバーを替えて、審査の中立性を保つ努力がなされています。
今年の「第59回 世界報道写真コンテスト」には、128の国と地域、5,775人のプロの写真家から、合計8万2,951点の作品が応募されました。
1年を通じて、世界の45カ国約100会場で開かれる本展は、約350万人以上が会場に足を運ぶ世界最大規模の写真展です。
— ホームページから抜粋

毎年サブタイトルがあり、今年は【沈黙が語る瞬間】でした。
ちなみに去年は【見える現実、知られざる真実】でした。

今年、展示された写真は62作品(組写真は1作品とカウント)でした。
展示される作品には大きく部が分かれます。
今年は以下の8部門に分かれていました。(毎年、同じだったかどうかは覚えておりません。)

・スポットニュース
・一般ニュース
・現代社会の問題
・人々
・スポーツ
・自然
・日常生活
・長期取材

それぞれの部門で1年前に起こった出来事で選ばれた写真が展示されています。
4年間見てきて、何が変化し、何が変わっていないのか。
それを踏まえた上で現代の世界の情勢はどうなっているのか。

変化したこと

変化したことに関しては個人的に嬉しいことばかりでした。
まずは「現代社会の問題」の部から。

去年、一昨年とゲイの写真が展示されていましたが、今年はレズの同性婚した2人の女性の写真が展示されていました。
LGBTに関しての報道はとても増えており、同性婚を求める人々、それを阻止しようとするデモがあったりと世界的にも注目されている現代社会の問題です。
去年では同性婚の反対デモに対してレインボーフラッグを持って立ちふさがった少女の動画や、今年では1万人もの同性婚デモに12歳の少年が立ちふさがった写真が注目を集めました。
LGBTに関してのニュースのほとんどは男性同士です。
というのも圧倒的にレズよりもゲイの方が多いからです。
その理由はいくつか提唱されていますが、ここでは言及しません。

3年連続(4年前もあったかもですが…)LGBTに関しての写真が展示されているということは、世界的にも注目を集め続けている現代社会の問題であるということ。
(何が問題かはおいておきます。)
そして、今年レズに焦点があたったことは少し報われたようなそんな気がしました。
そしてもう一つは「自然」の部から。
去年にも展示されたオランウータンの写真。
人間による密猟が相次ぎ、絶滅に向かっているとされています。
去年は血みどろになって殺戮されているオランウータンでした。
他にもクロコダイルなどの動物が虐殺され、人間のバッグや服になっているという写真が目立っていました。
今年のオランウータンの写真は人間とともに写された元気なオランウータンの写真でした。
まだまだ密猟は続いている背景の中で、元気な姿が写されており、かつそれが選ばれているということは、すこしずつよくなってきているのではないかなと思いました。

人間のエゴによって動物が大量に殺戮される世の中。
日本では、ペットとして買われなかった犬や猫の処分が問題になってますが、世界ではそれどころじゃないほどに毎日死んでいっています。
それもものすごい安い給料で雇われた人々が殺しているか、または機械で処分して加工までを行っています。
生命の維持として生き物を食べることは自然界の掟だと思うので、それはいいとしてもエゴによる殺生は許し難いものがありますよね。

 
あと一つ、去年と同様に3.11の写真の展示はなくなりました。
去年は映像で見る3.11になっていました。
今年の映像はほんの少ししか見ていませんが、熊本大地震に関することでした。
日本が地震で苦しみ続けるのは今までも、そしてこれからも変わることはないことなのかもしれません。
なので、いつでも災害に備えてください。
一番大事なのは命ですから。

 
もう一つだけ。笑
日本人として嬉しいことに「人々」の部では、写真家の小原一真氏が組写真1位を受賞されました。
とても日本人らしい写真になっていますので、ぜひとも一度見ていただきたいなと思っております。

変化していないこと

真っ先に出てくるのは「スポットニュース」の部から。
まだまだ続いているシリアの紛争。
当たり前のように日々、人が死んでいき、難民は増え続けるばかり。
そんな中、本日の記事で「「難民は気持ちの悪い害虫だ」とドイツの政治家は言った。」が公開されました。
悲しい気持ちになりますね…
罪のない娘が死に、その娘を抱える父親の写真が入り口に入ってすぐ目に飛び込んできます。
その次に額がえぐれて、顔面が血まみれの少年の写真。
「もういいじゃないか…」そう言いたくなります。

難民問題はとても難航しています。
まず難民登録するだけでも一苦労。
そして、難民キャンプもどこもギリギリの生活。
国を出るのに小型のボートで3割ほどが途中で溺死をする国の人たちもいます。
今年の大賞の写真も以下のシリア難民の子供の写真でした。

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そんな中、日本は難民の受け入れを拒否していると世界中から避難を浴びることもあります。
日本は島国なので、陸からは入ることができないのでもみ合いへし合いのことはまずありません。
そして、実は難民の受け入れは過去に3組しているらしいです。(昔TVニュースでみただけなので、今はどうかはわかりません。)
その受け入れの基準があまりに高いので、ほとんどの人がパスしません。
これはいいことか悪いことかは一概に言えないんですよね。
温暖な気候に恵まれた島国であるがゆえに守られた国。
そこに外部のものを何でもかんでも受け入れることはできないという思考になるのも仕方ないですし、事実として現状はびっくりするくらいに平和です。
受け入れたから平和ではなくなるかどうかは誰にもわかりません。
ただ、日本は変わっていないし、同時に世界の現状は変わっていないということです。

 
あまり世界情勢に詳しくない人には意外かもしれませんが、フランスの特にパリの情勢は未だに不安定です。
去年に展示されていた暴動では銃撃戦とその死者の写真がありましたが、今年は以下の反テロのデモの写真が展示されていました。

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日本でもデモは少しずつ増えてきていますが、海外に比べれば規模はそこまで大きいものは少なく、過激ではありません。
訴える力の強さ、そして人々が一丸になった時の強さがよく現れている一枚だと思います。

 
他には今年も中国の光化学スモッグの写真や北朝鮮に関しての写真も見受けられました。
世界的にも注目を浴び続けていることを象徴しています。
天災や人災としても、去年はバングラデシュのビルの崩壊が際立っていましたが、今年は中国の化学工場の爆発やネパールの地震などが展示されていました。

全体として

今年は今までよりも血を見る写真が少なかった印象です。
少しずつ世界はいい方向に変わっているところもあれば、そうでなく悪化しているところもあります。
それはいつの時代でも変わらないことですし、常に問題は変化し続けることだろうと思います。
そして、この世界の情勢を常に見ていかなければいけないと思うんです。
日本で生まれ、安全に育ってきた僕らだからこそ、世界に目を向け、今の自分の世界的な位置を知り、何ができるかを考えて行動できるんだと思うんです。

世界はよくなってきているのかどうかでいうとわからないです。
それは変わるものと変わらないものが同時に存在するからこそぶつかり合ってしまい、溝が生まれるからです。
変わるもの、変わらないもの、両方にその美しさがあるのに、それに気づけずに壊しあってしまうのが現代の人間世界の情勢です。
この情勢を踏まえた上でも多くの人は日本で生活していくことでしょう。
ただ一つ忘れて欲しくないのは、僕らは地球という世界で生きているということ。
日本の地震や津波だけでなく、世界の情勢にも少しだけ目を向けてもらえたらと思います。
それを知ること、感じることは「生きる」ことの一つの部分ではないでしょうか。

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