NVCとは相手の気持ちに寄り添うコミュニケーション


NVCという言葉をご存知でしょうか?
あまり普及していないので9割以上の人が初耳だと思ってます。笑
NVCとはNon Violence Communicationの略です。
NVCはマーシャル・B・ローゼンバーグという方が提唱しているコミュニケーションの手法です。
最近、NVCの本をコーチング研修のコーチにオススメしてもらって読んだのでそのサマリーを書いてみます。
個人的にかなり納得行ったり、新しい発見があったので超絶オススメです。

非暴力とついているのは暴力的な会話をなくすというコミュニケーションの方法だからです。
では暴力的なコミュニケーションとは何か。
例えば、「あのバスケ選手は使えない選手だ!」といったコミュニケーションの方法です。
これだけ聞くとなにが暴力的なのかよくわからないですよね。笑
上記のコミュニケーションには事実と感情が入り混じっています。
NVCの観点で事実だけ並べてみるとこうなります。
「あのバスケ選手は今シーズンで16試合中40点獲得した選手である。」
ここには何の感情も入っていません。
それが第一の違いです。
では感情をいれたものをなにが異なるのでしょうか?
感情とが入ると主観的な意見が入ります。
それは言い換えると評価ということになります。
使えない選手と評価しているのは発した人です。
これを違う人が「あのバスケ選手は成長してきたなー」とか「伸び代がまだまだありそうだから育てがいがあるなー」と言うのも感情が入った評価です。
ただし受け取りかたは最初のコミュニケーションと違います。
事実だけを並べる、これが非暴力への第一歩です。

■ NVCの4つの構成要素

NVCは「観察」「感情」「必要としていること」「要求」という4つの構成要素から成り立っています。

まずは観察についてです。
端的に言うと、事実と感情を分けるということです。
すでにご紹介したバスケ選手のお話がそれに当たります。
「いつ誰が何をどれくらいどうしたのか」を話すのが事実です。
意識していないとすぐに感情が入ったコミュニケーションになります。
もちろんそれが悪いってことではありません。
怒りなどの感情の高ぶりを感じた時に、一度立ち返ることが必要です。
何に対して怒りを感じているのか、それを観察するのです。

そして次に感情。
これはなぜその感情が生まれてくるのか。
観察をすると事実が浮き彫りになるので、その事実に対して自分の価値観を合わせてみます。
例えば誰かに対して怒りの感情を抱いたとします。
それは何か必ず原因があるはずです。
その原因は大きくは自分の価値観に左右されます。
後ほど怒りに関してはもう少し踏み込んでご説明しますが、ものごとの事実がありその事実に対して自分なりの価値観が反応して感情になります。
だから同じことを他人から言われたとしても人によって感じるものは異なってくるわけです。

では、なぜそういった感情が生まれてくるのか。
それが次のステップの必要としていることに繋がってきます。
怒りの裏側にはどこかしらに必要としていることが存在しています。
例えば、「あの人はこんなこともしてくれない。」といった気持ちから怒りが生まれたとします。
それは「こういうことはあの人ならやってくれる」という期待と、「こういうことをあの人にして欲しい」という必要としていることがあるからです。
人の感情は何か必要としていることがあるから生まれてくると言えるのかもしれません。

そして最後は要求。
これは必要としていることを相手に正しく伝えるということ。
伝えることまでがコミュニケーションです。
ただ観察して、感情に気づき、必要なことを明確にするだけでは相手に伝わりません。
相手に伝わるように、適切な言葉でコミュニケーションをはからないといけません。

同時にこれら4つの構成要素は主語が自分だけでありません。
対面する相手がどう感じているのか、なにを必要としているのか、言動の裏になにを要求しているのかを理解して、初めて対話が成り立ちます。
感覚で「おそらくこうだろう」と決め込むのではなく、ちゃんと「あなたが求めているのはこれですか?だからこういう感情を抱いているのですか?」と対話をする必要があります。
と、全体像を話しても実際にどういったものなのかはわかりづらいと思うので会話の事例を記載します。

会話の事例

本に記載されている会話を引用しています。
この本では概念だけでなく、多くのパターンの事例が記載されているのでとても理解しやすいのが特徴的です。

会話の事例の状況としては仲があまりうまくいっていない夫婦の会話で、妻が「あなたは私の言葉に耳を傾けたことがない!」と旦那に言いました。
そこで旦那は「いいや、耳を傾けている。」と反論します。
この会話自体が耳を傾けていないことを実証しています。
まずは共感し、なにを求めているのかを理解することに注力するのがNVCです。

ここでローゼンバーグが旦那の代わりとして妻にこう言いました。
「会話をする時はもっと繋がりを感じたいので、とてもいらだっているようだね。」と。
この事例の妻は繋がりを求めていたのです。
普段どのような会話を行っているのかはわかりませんが、おそらく旦那さんは常に自分の意見を言い続ける人だったのかもしれません。
ちょっと言葉尻や接続語を変えるだけでも繋がりを感じれる会話ができます。
それを妻は求めていたのです。

まずは相手がどういう感情でなにを求めているのかを冷静になって考えて口に出してみる。
少し長ったらしい会話になるような感覚をもつ人もいるかもしれませんが、人と人との感情は伝わるまで会話することが一番大切なのかもしれません。
「わからないのだったらもういい。」は終わりの始まりです。
自分の感情と向き合い、自分が相手に対してなにを要求しているのかを明確にして伝えてみる。
それが人と人との関係にいのちを吹き込むことなのかもしれません。

コーチングとの違い

コーチングとは大きく異なります。
コーチングは相手思考の整理をサポートすることを通じて、相手の中にある答えを引き出し、その後の思考や行動に変化を与えるものです。
NVCは相手と自分の要求を整理し、非暴力なコミュニケーションがとれるものです。
つまり、アウトプットとしてコーチングは目の前のクライアントのためであり、NVCは二人のためです。
ちなみに自分自身のためなのは以前に書いたNLPとかがあてはまるかと思います。
同時に全て認知行動療法にも絡むのかなと思ってます。
これらはまたどこかしらで図解しようかなと思います。

コーチングについてはこちらの記事を参照ください。

NVCからみた怒りとは

本の中にこんな一節があります。
「人の言動は、わたしたちの感情を刺激することはあっても、感情の原因とはならない。
人がとった行動が理由となって怒ることは、決してないのだ。」
まさしくその通りだなと。
同じ言葉を聞いたとしても怒る人も怒らない人もいますよね。
つまり、怒るのはその人の琴線に触れたからであり、琴線はその人自身の持ち物なわけです。
よくあるのは「あの人にはこうして欲しいのにそれをしてくれなかった!」といったものです。
それも自分で作った相手の理想像があるからこそ、怒りに変わってしまうわけです。
この一節は改めて自分の中で腑に落ちたので引用してみました。

終わりに

コミュニケーションに関して、人の感情に関していろんな本を読んだり、カウンセラーの方やコーチングをされてる方と話したり、ヴィパッサナー瞑想に行ったりしてきました。
いろんな側面からアプローチしてみた中でNVCは良質なコミュニケーションの礎になると確信しました。
また習得するのには鍛錬がかなり必要になる気がしています。
これからの人生の中で多くの人とコミュニケーションを取る中で衝突が生まれることは必ず多々あるかと思います。
その時にきっと役立つコミュニケーション方法だと思うので、よりよい人生を歩むためにもぜひ一度学んでみてはいかがでしょうか?