戦略とは何かを正しく理解するということ


昨今、戦略という言葉がよく使われるようになってきました。
SNS戦略、マーケティング戦略、採用戦略、ブランディング戦略などなど。
ただし、このような言葉を使うにあたって重要なことは、正しく「戦略」という言葉を使う人も聞く人も共通認識で理解していなければいけません。
また言葉の定義は時代やその環境によって大きく解釈が異なってきます。
だからこそ、あらためて戦略とは何かを正しく理解する必要があります。

戦略とは方向性を表す

ブリタニカ国際大百科辞典から引用してみます。

政治闘争上の戦略とは綱領的な基本目標によって設定される闘争の一般的方向性をいい,戦術とは戦略に基づく個々の具体的な場面における判断や闘争の技術のことをいう。

ようは「一般的な方向性」のことを指し示しています。
戦うための方向性、これを戦略と定義するのが筋がよさそうです。
では、普段の会話ではどのように使われるでしょうか?
「次の期の戦略は、◯◯である。」
これは次のように言いかえれそうです。
「次の期の戦う方向性は、◯◯である。」
違和感をあまり感じられません。
ということは、相互互換ができるということと言えそうです。

なので、戦略という言葉の理解としては「方向性」と認識しておきましょう。
方向性というと少しざっくりしたりふんわりしてる感じがしますよね?
それでOKです。
具体的なところは戦術にお任せしているからです。

事業戦略とは何か

それでは一つ例をあげてもう少しだけ戦略という言葉に向き合ってみましょう。
現代のビジネスにおいては経営戦略や事業戦略という言葉が多用されているかと思います。
経営戦略を語るには説明項目が多いので事業戦略を例にあげてみます。

事業戦略を考えるにはまずは事業はなんたるかを理解する必要があります。
事業とは「市場に対して価値を生み出すことを通じて、利益を得ること」を表しています。
それでは、市場とは何でしょうか?
こちらはよく耳にするかと思います。
市場とは「需要と供給が存在し、取引可能な場や概念のこと」をさします。
そしてさらにもっというと、需要というのはどこから来るのでしょうか?
それは「購買者の欲求」です。
購買者の欲求は時代やその環境から移り変わっていきます。
だからこそ富士山の山頂では熱い缶コーヒーは高くても売れます。
見慣れた商品はそれはそれで売れるのですが、より安くであったり付加価値を感じてもらう仕掛けなどが必要になってきます。

それでは、あらためて事業戦略とはなんでしょうか?
事業戦略とは「事業を拡大させるために、購買者の欲求を掻き立てる仕組みを構築する」ことです。
これが事業における戦略であり、この戦略にひもづいてブレークダウンした戦略がぶら下がる形になります。
プロダクト戦略や営業戦略などなど。
この構造を理解しつつ、KPI設計や組織改変などを行い事業を大きくしていきます。
まずは前提条件や定義などを明らかにすることでコミュニケーションも円滑に進みます。

戦いを略すも一つの捉え方

よく戦略では「戦いを略すこと」と言われることがあります。
この捉え方も一つです。
ただし、戦略は略すだけではありません。
たとえば、新しい市場開拓をするには競い合わせるのが定石と言われています。
最近でいえばFintechやヘルステックなど。
まだまだ振興の市場は1つの会社の1つの事業だけでは競争力がなく、市場は大きくなりにくいです。
たとえば、TwitterやFacebook、Instagramといった世界でも大きなSNSは一番最初のSNSでしょうか?
Googleは世界で54番目の検索エンジンとさえ言われています。
切磋琢磨することで大きくなる、これを立派な一つの戦略だと言えます。
もちろん、戦わずして勝つというのも素晴らしい戦略だと思います。
戦略とはそれだけではなく、もう少し抽象的な「方向性」だということを正しく認識した上で、コミュニケーションをとるのが得策かもしれません。

戦略を学ぶためにオススメする3冊

戦略を理解するにはやはりその過去事例などに学ぶとより体系的に理解することができます。
だからこそ、いろんな事例を知ることが大切です。


言わずと知れた戦略の師匠とも言える孫氏の一冊です。
現代語訳だからこそ読みやすく理解しやすくなっています。
孫氏が経験した戦ではどのような戦略をとったのか、また戦略を立てるために気をつける必要がある観点がまとまっています。
これはおもしろいくらいにビジネスの世界にも通じる部分があるので、ぜひ一度読んでみてください。


こちらの本では、実際に現代の会社に置けるKPIマネジメントについて記載されています。
例えば、JALの再建を行うにあたっての課題間とそのKPI設計とコミュニケーション設計をどのようにおこなったかなど。
KPIに関しては図式化しながら記載されているので理解しやすくなっています。
少し値段は高いですが、個人的にはKPI設計のバイブルになっています。


戦略の話をしていたのに、次はマーケティングの本の紹介です。
なぜかというと、マーケティングには必ず戦略が必要であり、他の領域の戦略を学ぶにしてもここがど真ん中にあるためです。
マーケティングは実は事業つまりビジネスそのものだったりします。
だからこそマーケティング戦略を学ぶことは戦略思考を鍛えることに通じるわけです。
この本では多くの事例を元に一つ一つの項目に関して解説が書かれているので思考の整理に繋がります。
かなり分厚く大きいので読むのに時間がかかりますが、おもしろいのでどんどんん読み進めてしまう一冊です。

戦略は自分の中にも

最後に自分の戦略はありますでしょうか?
人生設計や自己実現のための夢など。
社内でおけるブランディングやポジショニングなど。
戦略思考を学ぶと自身の人生も豊かになるはずです。
どういう方向を向いて生きていきたいのか、なんども立ち止まりながら考えてまた進み出す。
そのためにも戦略思考を正しく理解してうまいこと使っていきましょう。